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スーパーの食品売り場やパンの原材料表示で「ショートニング」という文字を目にしたことはありませんか?マーガリンと似ているけれど、一体何が違うのか、なぜ多くの食品に使われているのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
ショートニングは、パンやお菓子をサクサク、しっとりと美味しく仕上げるために欠かせない存在です。しかし、その一方で健康への影響も指摘されており、正しく理解しておくことが大切です。
この記事では、ショートニングの正体から、体への影響、そして上手な付き合い方まで、分かりやすく解説します。
ショートニングとは?マーガリンとの違い
ショートニングは、パンやクッキーなどの焼き菓子をサクッと、そしてしっとりとした食感に仕上げるために使われる食用油脂です。主原料は植物性油脂や動物性油脂で、これを精製して作られます。無味無臭で、白色の固形が特徴です。
マーガリンとよく混同されますが、両者には明確な違いがあります。
- ショートニング: 水分を一切含んでいません。そのため、クッキーやパイ生地などをサクサクした食感に仕上げるのに適しています。
- マーガリン: 原料の油脂に水分を加えて乳化させたものです。水分を含むため、パンに塗ったり、バターの代替として使われたりします。
ショートニングは「ショート(shorten)」、つまり「脆くする」「サクサクにする」という英語から名付けられました。この名前が示す通り、その最大の目的は食品の食感を向上させることにあります。
ショートニングの主な用途と食品例
ショートニングは、その機能性の高さから、家庭での料理だけでなく、多くの加工食品に使われています。
- パン: パン生地に加えることで、キメを細かくし、しっとりとした食感とふんわり感を出すことができます。特に、市販の食パンや菓子パンによく使われます。
- クッキー・ビスケット: 生地をサクサク、ホロホロとした口当たりに仕上げるために不可欠な材料です。
- パイ・タルト: 生地を何層にも重ねるパイやタルトに使うことで、薄く、サクサクとした食感の層を作ることができます。
- 揚げ油: 揚げ物の衣をカリッとさせる目的で、揚げ油として使われることもあります。
これらの食品は、ショートニングのおかげで、より美味しく、魅力的な食感になっています。
健康への影響は?トランス脂肪酸との関係
かつて、ショートニングは健康に良いとされていましたが、近年は健康への影響が指摘されています。その主な原因は「トランス脂肪酸」です。
ショートニングの製造過程で、液体の油脂を固める「水素添加」という工程が行われることがあります。この時に、トランス脂肪酸が生成されます。トランス脂肪酸は、過剰に摂取すると悪玉コレステロールを増やし、心臓病のリスクを高める可能性があると指摘されています。
しかし、現在は技術の進歩により、トランス脂肪酸の含有量を大幅に抑えた「トランス脂肪酸低減ショートニング」が主流になっています。日本の食品表示基準では、トランス脂肪酸の含有量を表示する義務はありませんが、多くのメーカーが自主的に低減に努めています。
ショートニングを減らす食生活のコツ
健康のためにショートニングの摂取量を減らしたいと考える方もいるでしょう。以下の点を意識することで、食生活からショートニングを減らすことができます。
- 原材料表示を確認する: 自分で作るお菓子やパンには、バターや植物油など、より健康的な油脂を使うことができます。市販品を購入する際は、原材料表示を見て、ショートニングが含まれていないか確認する習慣をつけましょう。
- 外食や加工食品を控える: ファストフードや、スーパーで売られている安価な揚げ物、冷凍食品などには、ショートニングが使われていることが多いです。これらの摂取量を意識的に減らすことが大切です。
- 代替品を利用する: 料理やお菓子作りでショートニングの代わりに使えるものとして、バター、オリーブオイル、ココナッツオイルなどがあります。それぞれ風味が異なるので、用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
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ショートニングが含まれる意外な食品
ショートニングは、私たちが普段食べている食品の中に、意外な形で隠れていることがあります。
- パン粉: 揚げ物の衣に使うパン粉には、ショートニングが含まれていることがあります。
- カップラーメン: 麺を揚げて乾燥させる工程で、ショートニングが使われることがあります。
- スナック菓子: ポテトチップスやクッキーなど、多くのスナック菓子の製造にショートニングが使われています。
- 冷凍食品: 冷凍の揚げ物や、冷凍パイシートなどには、サクサク感を出すためにショートニングが使われています。
これらの食品を日常的に口にしている方は、知らず知らずのうちにショートニングを摂取している可能性があります。
まとめ
ショートニングは、食品の食感を向上させるために広く使われている食用油脂です。特に、パンや焼き菓子を美味しく仕上げる上で重要な役割を果たしています。しかし、その一方で、製造過程で生成されるトランス脂肪酸が健康に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
現在では技術改良が進み、トランス脂肪酸の含有量が少ない製品が主流ですが、健康を意識するなら、原材料表示をチェックしたり、加工食品を控えたりすることが大切です。ショートニングについて正しく理解し、賢く付き合うことで、より健康的な食生活を送ることができます。
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